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INAX REPORT

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続々モダニズムの軌跡
特集2

鈴木 恂×古谷誠章

住宅にある生命力の本質を “内圧”として育みたい。

鈴木恂×古谷誠章

 1996年に始まった特集「モダニズムの軌跡」の続編シリーズです。建築家・古谷誠章氏を聞き手に、今なお“時代を導く人”として建築界で活躍する建築家にスポットを当てたロングインタビューです。
 今回のゲストは鈴木恂氏です。1959年、早稲田大学を卒業し、大学院に進学。大学院在学中の中南米調査隊でメキシコを訪れますが、そこで体験した光と影によって日本の光と影の大切さを実感することとなり、それが氏の建築設計の指針となります。大学院卒業後は、約7ヵ月をかけて世界を一周し、1964年、設計事務所を設立します。鈴木氏は、住宅は生活によって“内圧”と呼ぶ居住力や生命力が生まれなければならない。また、それを育むような設計であるべきだと主張します。それは公共建築においても同じだとする氏の、1980年代から2000年に至るまでの作品の足跡を辿りながら、話を伺いました。

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JOH(宍戸邸)
URH(浦和の家)

対談

古谷|宍戸邸とか石亀邸の初期の作品ですが、何かの時に、たぶん石亀邸の写真を鈴木さんがお使いになってレクチャーをされたことがあって、“内圧”ということをおっしゃった。とにかく「コンクリートの箱が住居であるけれども、その中に人の生活があって、生活をしていると、おのずと中からの圧力が外に飛び出す」と説明されて、非常に分かりやすかった(笑)。
鈴木|その程度の理論しか持っていなかった。でも、最初はそんな感じだと思うんですよ。それはかなり大切にしてきたことなのです。というのは、あまりにもできすぎた、きちんとまとまった家をつくろうとすると、いかにも「これが家です」という形の家にしかならない。もっともっと生活というのは内側から豊かにできるはずなのに、逆に建築の側が抑えつけている。それはまずい。それを豊かにするには、住む力が生まれるような内部をつくらなければならない。空間の活力が内部に拡張する方法を探すのが家の設計でしょう。そんな実存的な空間の力を見えやすく説明しようとして“内圧”という言葉を使ったのね。抽象的だけど、住宅にある居住力というか、生命力の本質を、ただ外形に表すのではなく、もっと“内圧”として育みたい。そうでなければ、都市住宅では特に外圧によって惨めなことになってしまう…、と考えたのね。
古谷|生活に“ある力”があるのではないか、“起爆力”があるのではないかという感じはすごくよく分かるんですが、でも宍戸邸にしても石亀邸にしても、平面形はかなり厳格な、幾何学的な構成ですよね。本当ならメキシコなどをご覧になって、デザインサーベイ的なことをいろいろされていたとすると、もっと有機的な何かをつくりたくなっても不思議じゃない気もするんですが、むしろ鈴木さんの初期の作品は、頑なほどに厳密な矩形ですね。それは何か意識して、自由な形を与えないというお考えがあったんでしょうか。
鈴木| 住居のすべてが自由ではあり得ないという考え方です。本当に内圧を高めていかなければならない部分と、そうじゃない部分がある。ある種コンサバティブに、またはもっとディフェンシブにしなくちゃいけない部分と両方ある。その両方を可能にする決まりとして、幾何学や抽象が表れてよいと思った。効果的に両方が拮抗すれば、なおよいと思っていたね。

本論 建築家・デザイナー|矢萩喜從郎氏
コラム 建築家|鈴木基紀氏

左写真上から:「JOH(宍戸邸)」、「URH(浦和の家)」(写真2点とも:鈴木悠氏)

   

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